2024/5/1
戸建てやマンション購入の費用相場とは?
頭金に必要な費用や諸費用を抑えるコツ
戸建てやマンションを購入する際、物件以外にもさまざまな諸経費がかかるほか、購入後は維持費も生じます。今回の記事では、住宅種別ごとの費用相場や、諸費用および必要な頭金について解説します。
住宅種別ごとの相場
戸建て購入の費用については、住宅種別ごとに異なります。住宅支援機構が発表した「2022年度フラット35利用者調査」によると、近畿地方の住宅種別毎の相場は以下の通りです。
住宅種別 |
2021年の相場 |
2022年の相場 |
新築マンション |
4,477.6万円 |
4,973.9万円 |
中古マンション |
2,654.1万円 |
2,775.6万円 |
建売住宅 |
3,578.2万円 |
3,713万円 |
中古戸建て |
2,433.9万円 |
2,523.6万円 |
注文住宅 |
3,777.5万円 |
3,990.5万円 |
土地付き注文住宅 |
4,658.5万円 |
4,893.8万円 |
- ※注文住宅は予定建設費と土地取得費の合計金額
- ※住宅支援機構の2022年度フラット35利用者調査を基に作成
- ※近畿圏のデータです。
2022年の費用相場を高い順から並べると、新築マンション、土地付き注文住宅、注文住宅、建売住宅、中古マンション、中古戸建ての順番となります。
また、以下のように全国的に物件価格の相場は上昇傾向にあります。
年度 |
注文住宅 |
土地付注文住宅 |
建売住宅 |
マンション |
中古戸建 |
中古マンション |
2012年 |
3,050.7万円 |
3,561.6万円 |
3,206.4万円 |
3,757.6万円 |
2,183.5万円 |
2,509.5万円 |
2013年 |
3,043万円 |
3,637.3万円 |
3.319.6万円 |
3,861.5万円 |
2.252.7万円 |
2,561.8万円 |
2014年 |
3,125.1万円 |
3,743万円 |
3,280万円 |
3,967.6万円 |
2,237.6万円 |
2,580.1万円 |
2015年 |
3,245.3万円 |
3,897.9万円 |
3,319.5万円 |
4,249.7万円 |
2,279万円 |
2,692.2万円 |
2016年 |
3,319.8万円 |
3,954.7万円 |
3,337.8万円 |
4,266.7万円 |
2,305.4万円 |
2,797.1万円 |
2017年 |
3,358.5万円 |
4,039.2万円 |
3,336.8万円 |
4,348.4万円 |
2,392.9万円 |
2,844.5万円 |
2018年 |
3,395.1万円 |
4,112.6万円 |
3,442.1万円 |
4,437.2万円 |
2,473.3万円 |
2,982.5万円 |
2019年 |
3,454.2万円 |
4,256.8万円 |
3,494.3万円 |
4,521万円 |
2,574万円 |
3,109.6万円 |
2020年 |
3,533.8万円 |
4,397.3万円 |
3,495.2万円 |
4,545.2万円 |
2,480.2万円 |
2,971.4万円 |
2021年 |
3,572.4万円 |
4,455.5万円 |
3,604.9万円 |
4.528.5万円 |
2,614.4万円 |
3,025.8万円 |
2022年 |
3,716.7万円 |
4,694.1万円 |
3,719万円 |
4,848.4万円 |
2,703.6万円 |
3,156.9万円 |
- 出典:住宅支援機構|2012年度〜2022年度フラット35利用者調査
近畿地方も例外ではなく、全ての住宅種別で前年よりも価格が上昇しています。これから住宅を購入したいと考えている人は、いくら必要か試算しておきましょう。
戸建て・マンションの購入にかかる諸費用
戸建てやマンションを購入する際、住宅そのものの購入費用とは別に諸費用がかかります。ここでは諸経費の相場や内容について解説します。
■物件購入の諸経費
購入時の諸費用は、戸建ての場合は新築物件が6〜10%に対して、マンションは新築が
2.5〜5%、中古が5〜8%といわれています。
また、諸費用は細かい条件によって異なりますが、以下が相場となります。
住宅種別 |
諸費用の相場 |
新築マンション |
物件価格×3%〜6% |
中古マンション |
物件価格×6%〜9% |
建売住宅 |
物件価格×6%〜9% |
中古戸建て |
物件価格×6%〜9% |
注文住宅 |
物件価格×3%〜6% |
戸建ての新築物件および中古物件を購入する際にかかる諸費用をまとめると、以下の通りです。
|
新築物件の場合 |
中古物件の場合 |
物件購入時にかかる費用 |
- ・申込金(2万円〜10万円前後)
- ・手付金(価格の5%〜10%)
- ・印紙税(1万円)
- ・仲介手数料 など
|
- ・手付金(価格の5%〜10%)
- ・印紙税(1万円)
- ・購入諸費用
- ・仲介手数料
- ・適合証明書(約5万円) など
|
物件引き渡し時にかかる費用 |
- ・印紙税(2万円)
- ・登記費用
- ・住宅ローンの諸費用(保証料+融資手数料)
- ・火災保険料
- ・地震保険料
- ・仲介手数料 など
|
- ・印紙税(2万円)
- ・登記費用
- ・ローン借入費用
- ・仲介手数料
- ・固定資産税や都市計画税
- ・火災保険料
- ・地震保険料 など
|
物件引き渡し後にかかる費用 |
|
- ・リフォーム代
- ・不動産取得税
- ・引っ越し費用 など
|
- ※物件価格はどちらも1,000〜5,000万円の範囲の場合
マンションを購入する場合も、印紙税や登記費用、固定資産税などがかかります。ただし、以下の点について注意しましょう。
- ・新築マンションは、通常仲介手数料が不要
中古マンションが新築マンションよりも諸費用が高くなるとされる理由は、売主が個人である場合が多く、不動産会社に支払う仲介手数料がかかるからです。(不動産会社が売主の中古マンションを購入する場合は仲介手数料が不要)一方、新築マンションは売主であるディベロッパーから直接購入することになり、通常仲介手数料が不要となります。
- ・新築マンションを購入すると、修繕積立金や管理費の一部を月々の支払いとは別に一時金として支払う必要がある
なお、不動産会社に支払う仲介手数料は、宅地建物取引業法において、不動産の売買価格によって上限が決められていて、戸建てもマンションも以下の計算式で求めることができます。
不動産の売買価格 |
仲介手数料の上限額 |
400万円超 |
(売買価格×3%+6万円)+消費税10% |
200万円超〜400万円以下 |
(売買価格×4%+2万円)+消費税10% |
200万円以下 |
(売買価格×5%)+消費税10% |
例えば、売買価格が4,000万円の物件の場合、138万6,000円が仲介手数料となり、一般的にこの金額を物件購入時と物件引き渡し時の2回に分けて支払います。
■登記費用について
物件購入にかかる登記費用は、主に「登録免許税」「司法書士手数料」などが必要とされています。
建物の登記免許税の税率は以下の表の通りです。
種類 |
登録免許税の税率 |
土地の所有権移転登記
(買主に土地の所有権が移ったことを証明するための登記) |
評価額×2.0% |
新築物件の所有権保存登記
(新築物件の所有権が誰にあるのかを明確にするための登記) |
評価額×0.4% |
中古物件の所有権移転登記
(中古物件の所有権が買い主に移ったことを証明するための登記) |
評価額×2.0% |
抵当権設定登記※
(金融機関がローンの返済ができない場合に備えて設定する登記) |
評価額×0.4% |
したがって、住宅ローンを活用して新築物件と中古物件(例:土地価格と物件価格、どちらも2,000万円だった場合)をそれぞれ購入した際の登録免許税の費用は以下の通りです。
種類 |
新築物件 |
中古物件 |
土地の所有権移転登記 |
(2,000万円×70%)×2.0%=28万円 |
(2,000万円×70%)×2.0%=28万円 |
所有権の登記の費用 |
(2,000万円×50%)×0.4%=4万円 |
(2,000万円×50%)×2.0%=20万円 |
抵当権設定登記
(住宅ローン3,500万円を利用した場合) |
3,500万円×0.4%=14万円 |
3,500万円×0.4%=14万円 |
- ※土地の評価額は価格の70%、物件の評価額は価格の50%とする。
- ※住宅ローンの利用額は3,500万円とする。
同じ物件価格であれば、中古物件の方が登録免許税は高くなります。
なお、司法書士手数料は各司法書士事務所によって異なります。
■土地購入にかかる諸費用
土地も購入して戸建ての家を建てる場合は、購入時と購入後にも諸費用の支払いが必要です。
土地購入時にかかる諸費用 |
- ・仲介手数料
- ・印紙代(購入額に応じて2,000円〜6万円)
- ・登記費用
- ・固定資産税や都市計画税
- ・測量費用(一般的に約10万円〜20万円)
|
土地購入後にかかる諸費用 |
- ・不動産取得税
- ・固定資産税や都市計画税
- ・地盤調査の費用
|
他に畑や田んぼを宅地に転用する場合は、購入時に農地転用の費用、住宅が建っていた土地を購入する場合は、上下水道を引き込み工事費用や水道加入金などの支払いが必要です。
戸建て・マンションを買うのに必要な頭金はいくら?
戸建てやマンションを買うためには、物件価格と諸費用を支払う必要があります。とはいえ、戸建て・マンションともに物件価格は、一般的に数千万円以上します。その全てを貯金から支払うことができない場合は、頭金を用意した上で住宅ローンを組み、物件価格と諸費用を支払います。
住宅ローンを組む上で重要な費用が「頭金」です。
以下の表は、住宅支援機構の2022年度フラット35利用者調査のデータですが、2022年は概ね10〜20%前後の頭金を用意している人が多いことがわかります。
住宅種別 |
手持ち金(頭金) |
住宅ローン借入額の合計 |
諸費用 |
新築マンション |
1,002.2万円(20.1%) |
3,811.4万円(76.7%) |
160.3万円(3.2%) |
中古マンション |
423.2万(15.2%) |
2,248.2万円(81%) |
104.2万円(3.8%) |
建売住宅 |
327.8万円(8.8%) |
3,180.2万円(85.7%) |
205万円(5.5%) |
中古戸建て |
243.2万(9.6%) |
2,150.1万円(85.2%) |
130.3万円(5.2%) |
注文住宅 |
684万円(17.1%) |
3,190.4万円(79.9%) |
116.2万円(2.9%) |
土地付き注文住宅 |
496.9万円(10.2%) |
4,143.8万円(84.7%) |
4,143.8万円(84.7%) |
- 出典:住宅支援機構|2022年度フラット35利用者調査より一部抜粋
特に新築マンションは、戸建てに比べると、多くの手持ち金(頭金)が必要だということがわかります。
もちろん、頭金が0円でも住宅ローンの審査に通る可能性はあります。しかし、頭金が少ないと住宅ローンの借入額が増えるため、支払の負担が増えてしまうのです。特にフラット35の場合では、以下のように頭金を1割以上用意した方が、金利を低くできるからです。
融資率 |
金利の範囲 |
最も多い金利 |
9割以下 |
年1.820%〜年3.470% |
年1.820% |
9割超 |
年1.960%~年3.610% |
年1.960% |
- ※借入期間21年以上35年以下
- ※2024年2月時点の情報
4,000万円の物件を購入する際に頭金を1割用意できた場合(ローン金利年1.820%)と0.5割しか用意できなかった場合(ローン金利年1.960%)を住宅ローンシミュレーションで比較してみましょう。
頭金 |
総返済額 |
支払う利息額 |
400万円 |
4,870万1,543 円 |
1,270万1,543円 |
200万円 |
5,254万2,499 円 |
1,454万2,499円 |
- ※35年で返済かつボーナス払いしない場合
- ※住宅ローンシミュレーション|住宅情報館によりシミュレーションした結果
頭金を200万円しか用意できない場合、400万円用意できた場合と比べると、180万円ほど多く利息を支払わなければなりません。
加えて、住宅ローンの残高の減りが遅くなる点にも注意が必要です。何らかの事情で住宅を売却しなければならなくなった場合に、その時点の物件価額よりも住宅ローンの残高が多ければ、預貯金などで補填しなければなりません。
また、住宅ローンの支払中に借り換えをしたい場合も、返済負担率が30〜35%を超えているケースがあるため、金融機関に断られるリスクがあります。
住宅を保有するにも維持費がかかる
住宅を購入した後も維持費がかかる点は把握しておきましょう。住宅購入後にかかる主な維持費は以下の通りです。戸建てとマンションで維持費に違いがあることがポイントです。
戸建ての維持費 |
- ・火災保険料
- ・地震保険料
- ・修繕費
- ・固定資産税
- ・都市計画税
|
マンションの維持費 |
- ・火災保険料
- ・地震保険料
- ・固定資産税
- ・都市計画税
- ・修繕積立金
- ・管理費
- ・駐車場代
|
■火災保険料・地震保険料
火災保険料の相場は、建物の所在地、状態(新築か中古か)、構造(木造かコンクリート造か)、特約の有無などさまざまな要因によって決まります。一般的に木造建築の方が燃えやすい構造のため、保険料が高くなる傾向があるでしょう。
また、コンクリート構造の多いマンションと木造が多い戸建てでは、前者の方が燃えにくい傾向があるため保険料は安くなるでしょう。
地震保険についても都道府県別の地震の危険度、構造(木造かコンクリート造か)などによる倒壊のリスクによって決まります。したがって、地震の多い地域は保険料が高くなりやすいです。
地震保険について、分譲マンションの場合は、戸建てよりも保険料が抑えやすいでしょう。というのも、マンションでは区分所有者が保有する専有部分と共用部分(廊下やエレベーターなど)のうち、前者のみにしか保険が適用されない分、費用が安くなるからです。
ただし、火災保険料と地震保険料についてはさまざまな要因によって保険料が変わるため、一律に相場がいくらか示すのは難しいのが現状です。
■修繕費
物件の築年数が長くなるほど修繕が必要な箇所が多くなるため、費用がかかります。特に建物を建ててから15〜20年、30〜35年のタイミングで大規模な修繕が必要になる傾向があります。
住宅リフォーム推進協議会がまとめたリフォームユーザーの動向(住宅リフォームに関する消費者実態調査)によると、平均のリフォーム予算は一戸建ての場合で471.6万円、マンションで場合は278.6万円となりました。よって、一戸建ての方がリフォームに多くの費用がかかる傾向があります。
■固定資産税
固定資産税は、土地・建物ともに課税評価額×1.4%により算出可能です。 課税評価額については、建物は建築費の50%〜70%ほど、土地の場合は時価の70%ほどです。
マンションの方が購入金額に占める割合は土地よりも建物の価格の方が高く、建物の耐用年数が47年と長い(戸建ては22年)といった特徴があるため、固定資産税が高くなる傾向があります。
■修繕積立金・管理費・駐車場代
マンションの場合、修繕積立金や管理費、駐車場代などもかかります。
修繕積立金については、国土交通省の平成30年度マンション総合調査結果〔概要編〕によると、駐車場使用料等からの充当額を含んだ毎月の平均額は12,268円(1戸あたり)でした。
管理費については、徴収した費用が以下のような用途に充てられます。
- ・マンションの建物や敷地(エントランスや廊下など)の清掃費
- ・エレベーターの保守点検費用
- ・インターネットやテレビの使用料金
加えて、大規模修繕などを行う際には、修繕積立金だけでは足りなくなり、追加で費用が発生することもあります。
一般的に大規模修繕は12年周期を目安とするため、注意が必要です。
- ※出典:「平成30年度マンション総合調査結果」(国土交通省)
住宅購入時・購入後の諸費用を抑えるコツ
購入時の諸費用を抑えるためには、以下のコツがあります。
■ローン保証を見直す
ローン保証とは、住宅ローンの支払いができなくなった場合に備えて、保険会社へ支払う保険料のことです。一般的に住宅ローンの保証料は借入金額の0〜2%ほどといわれています。
住宅ローンの保証料を支払う際は、主に以下の方法があります。
- ・保険料を契約時に一括で支払う外枠型
- ・金利に上乗せして毎月支払う内枠型
資金に余裕がある場合は、外枠方式で支払った方が総支払額を抑えられる可能性が高いです。また、繰上返済をした際に保証料の一部が返金されることもあります。
■火災保険のプランを見直す
他には火災保険のプランを見直すことで諸費用を抑えられます。火災保険のプランの中には補償範囲が火災だけでなく、風災や水漏れ、破損など広く扱っているものもあります。不要な補償範囲を外すことで、支払う保険料を安くできるでしょう。
【まとめ】住宅購入費用の相場を知り、新築一戸建てを検討しよう
戸建てでもマンションでも住宅を購入するなら、まず購入費用の相場を知っておくことが重要です。データでも分かるとおり、現時点ではマンションよりも一戸建てのほうが費用を安く抑えられる可能性があります。ただし、物件の価格だけでなく、土地代や諸費用などもかかるので事前に把握しておきましょう。
新しい住まいを購入後にローン支払など毎月の支出を抑えたい場合は、新居での光熱費を抑える工夫も欠かせません。関西電力ではお客さまのライフスタイルに合わせた電気料金メニューをご用意しており、都市ガスサービスもご用意しております。これを機に電気やガスのメニューを見直してみてはいかがでしょうか。
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