2024/6/28
【2024年版】
新築一戸建て住宅を建てるときに使える国の補助金・減税制度
新築一戸建て住宅を建てるとき、国からの補助金制度や減税制度を利用すれば、費用負担を減らすことができます。
その補助金や減税制度にはいくつかの種類がありますが、新築用の資金を貯めている方でも、どのような制度があるか詳しく知らない方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、新築一戸建て住宅を建てるときに使える国の補助金制度と減税制度の、補助対象や補助金などについて詳しく紹介します。制度を利用するときの注意点についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
- ※なお、本記事に記載されている情報は、いずれも2024年6月28日時点のものです。
国から支給される3つの補助金制度
新築一戸建てを建てる際に使える国の補助金は、次の3つが挙げられます。
■子育てエコホーム支援事業
- ※2024年11月30日をもって交付申請の予約の受付を終了
「子育てエコホーム支援事業」とは、それまでにあった「子どもエコすまい支援事業」の後継的な位置づけです。
近年のエネルギー価格の高騰から、生活の影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯に対し、高い省エネ性能が備わった新築住宅の取得や住宅の省エネ改修などの省エネ投資を支援するのが目的となっています。
補助の対象・補助額・申請方法は次の通りです。
<子育て世帯・若者夫婦世帯による住宅の新築の場合>
対象住宅 |
補助額 |
対象者 |
長期優良住宅 |
100万円/戸
- (※「市街化調整区域」「土砂災害警戒区域または浸水想定区域(洪水浸水想定区域又は高潮浸水想定区域における浸水想定高さ3m以上の区域を指す)」に立地している住宅の場合は50万円/戸)
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子育て世帯(※1)または若者夫婦世帯(※2) |
ZEH住宅 |
80万円/戸
- (※「市街化調整区域」「土砂災害警戒区域または浸水想定区域(洪水浸水想定区域又は高潮浸水想定区域における浸水想定高さ3m以上の区域を指す)」に立地している住宅の場合は40万円/戸)
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- (※1)子育て世帯:申請時点において、2005年4月2日以降出生の子を有する世帯。
ただし、2024年3月末までに工事着手する場合においては、2004年4月2日以降出生の子を有する世帯とする。
- (※2)申請時点において婚姻関係があり、2023年4月1日時点で夫婦のいずれかが39歳以下(1983年4月2日以降に誕生)である世帯を指す。ただし、2024年3月末までに工事着手する場合、2022年4月1日時点でいずれかが39歳以下(1982年4月2日以降に誕生)の世帯とする。
申請方法など詳しくは子育てエコホーム支援事業のホームページを確認しましょう。
■令和6年度 戸建住宅ZEH化等支援事業
「戸建住宅ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化等支援事業」とは、経済産業省・国土交通省・環境省の3省が連携した、エネルギーをほぼゼロにする住宅の実現を目指すプロジェクトです。申請対象者は、新築住宅を建てる(購入する)個人または販売者である法人です。
ZEHについて詳しくはこちら!
このプロジェクトは、高効率な断熱材や太陽光発電システムなどの技術を活用することで、住宅の省エネと省CO2化を促し、エネルギー消費を最小限に抑えることが目的です。光熱費を抑えつつ、快適で安全なZEHの建設や改築に対する補助金や税制優遇などの支援を提供することで、持続可能な住宅の供給を促すことを目指しています。
対象住宅や補助額は、次の通りです。
対象住宅 |
ZEH ZEH+ |
補助対象経費・補助額 |
ZEH |
55万円/戸 |
ZEH+ |
100万円/戸 |
申請方法など詳しくは戸建て住宅ZEH化等支援事業のホームページを確認しましょう。
■令和6年度サステナブル建築物先導事業(省CO2先導型) LCCM戸建住宅部門
「サステナブル建築物先導事業(省CO2先導型) LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)戸建て住宅部門」とは、建築のライフサイクル(新築・改修・解体・再利用)において、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入や省エネ設備の利用、地球環境に配慮した建材の使用を促すことで、CO2の排出量をマイナスに抑えることに焦点を当てた持続可能な住宅の普及を推進するための事業です。
補助の要件や補助額は下記の通りです。
補助対象の基本要件 |
- ①戸建住宅の新築
- ②強化外皮基準(1~8地域の2016年省エネルギー基準(ηAC値、気密・防露性能の確保等の留意事項)を満たした上で、UA値 1、2地域:0.4[W/㎡K]以下、3地域:0.5[W/㎡K]以下、4~7地域:0.6[W/㎡K]以下)
- ③再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量(「その他一次エネルギー消費量」は除く)から25%以上の一次エネルギー消費量削減するもの
- ④再生可能エネルギーを導入(容量不問)するもの
- ⑤再生可能エネルギーなどを加えて、基準一次エネルギー消費量(「その他一次エネルギー消費量」は除く)から100%以上の一次エネルギー消費量削減するもの
- ⑥以下のいずれかの方法で、LCCO2を算定し、結果が0以下となるもの
- ・CASBEE-戸建(新築)2018年版、2021年SDGs対応版(又は2020年SDGs試行版)
- ・LCCO2(LCCM住宅部門の基本要件)適合判定ツール
- ⑦住宅の品質について、CASBEEのB+ランクまたは同等以上の性能を有するもの(長期優良住宅認定など)
- ※耐震性については、募集要領 、交付申請等マニュアルを参照
- ⑧交付決定を受けた年度に事業着手するもの
- ⑨住宅の立地が「土砂災害特別警戒区域」に該当しないこと
- ⑩住宅の立地が「災害危険区域」に該当しないこと
- ⑪住宅の立地は、都市再生特別措置法第88条第5項の規定により、当該住宅に係る届出をした者が同条第3項の規定による勧告に従わなかった旨の公表がされていないこと
|
補助額 |
上限140万円/戸 |
申請受付は2024年5月17日からとなり、交付申請の期限は2025年1月20日、完了実績報告は2025年2月3日が期限となります。
詳細は「令和6年度サステナブル建築物先導事業」のホームページをご確認ください。
6つの減税制度
新築一戸建てを建てるときには、減税制度もあわせてチェックしましょう。
■住宅ローン減税
住宅ローン減税とは、新築や改築などで住宅ローンを組んだ場合、年末のローン残高の0.7%の所得税(※所得税から控除しきれなかった場合、翌年の住民税からも一部控除)から最大で13年間控除する制度のことです。支払利子の控除額は、個人の所得状況や住宅ローンの金利によって変動し、一定の限度額が設けられているため、購入者の負担軽減や住宅購入促進が図られる仕組みとなっています。
なお、2022年度の税制改正により、原則として2024(令和6)年1月以降に建築確認済みの新築住宅は、住宅ローン減税の必須要件として、省エネ基準以上に適合しているという「証明書」の提示をしなくてはなりません。
住宅を新築した場合の借入限度額と控除期間などの詳細は、以下の表にまとめています。
<借入限度額と要件>
住居区分 |
居住年 |
2022(令和4)年~ 2023(令和5)年 |
2024(令和6)年~ 2025(令和7)年 |
認定長期優良住宅 |
5,000万円 |
4,500万円 |
低炭素住宅 |
特定エネルギー 消費性能向上住宅 |
4,500万円 |
3,500万円 |
エネルギー 消費性能向上住宅 |
4,000万円 |
3,000万円 |
一般の新築住宅 |
3,000万円 |
原則として0円(※ただし、2023年12月31日までに建築確認済み、もしくは2024年6月30日までに建築されたものは、借入限度額を2,000万円として、10年間の控除対象となる) |
所得要件 |
合計取得金額 2,000万円以下 |
床面積要件 |
50㎡以上 |
申請方法 |
入居した翌年の2月中旬~3月中旬までの間に管轄の税務署に確定申告 |
<控除期間と控除率>
住宅の区分 |
居住年 |
控除期間 |
控除額の計算(控除限度額) |
認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 |
2022(令和4)年~ 2023(令和5)年 |
13年 |
年末残高など×0.7%(35万円) |
2024(令和6)年~ 2025(令和7)年 |
13年 |
年末残高など×0.7%(31.5万円) |
特定エネルギー 消費性能向上住宅 |
2022(令和4)年~ 2023(令和5)年 |
13年 |
年末残高など×0.7%(31.5万円) |
2024(令和6)年~ 2025(令和7)年 |
13年 |
年末残高など×0.7%(24.5万円) |
エネルギー 消費性能向上住宅 |
2022(令和4)年~ 2023(令和5)年 |
13年 |
年末残高など×0.7%(28万円) |
2024(令和6)年~ 2025(令和7)年 |
13年 |
年末残高など×0.7%(21万円) |
一般の新築住宅 |
2022(令和4)年~ 2023(令和5)年 |
13年 |
年末残高など×0.7%(21万円) |
2024(令和6)年~ 2025(令和7)年 |
10年 |
年末残高など×0.7%(14万円) |
■登録免許税の税率軽減
登録免許税の税率軽減とは、一定の条件を満たす新築住宅および中古住宅を取得する者に対する登録免許税の税率を軽減する制度のことです。住宅の購入や所有の負担を軽減することで、住宅の購入といった住宅需要が高まることが期待されています。なお、軽減される税率や適用要件においては、住宅の用途や購入する目的によって異なっています。
登録免許税の税率の軽減措置については、2024(令和6)年の税制改正により、期限が延長されました。詳細は以下の通りです。
<住宅用家屋の所有権の保存登記等の税率の軽減(租税特別措置法第72条の2、第73条)>
登記の種類 |
本則 |
軽減措置 (※2026年3月31日が適用期限) |
所有権の保存 |
0.4% |
0.15% |
所有権の移転 |
2.0% |
0.3% |
<特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等の税率の軽減(租税特別措置法第74条)>
登記の種類 |
本則 |
一般住宅(※) |
軽減措置 (※2027年3月31日が適用期限) |
所有権の保存 |
0.4% |
0.15% |
0.1% |
所有権の移転 |
マンション |
2.0% |
0.3% |
0.1% |
戸建て住宅 |
2.0% |
0.3% |
0.2% |
- 引用:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0020003-124_02.pdf
- (※)上記の「一般住宅」欄は、住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減(租税特別措置法第72条の2)または住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減(租税特別措置法第73条)のいずれかを適用した際の登録免許税の税率を参考として掲載
■住宅取得資金等にかかる贈与税の非課税措置
「住宅取得資金等にかかる贈与税の非課税措置」とは、父母や祖父母といった直系の親族から、住宅の新築や取得、増改築(リフォーム)に伴う資金の贈与を受けた場合、資金から一定の金額の贈与税が非課税の扱いにする制度です。
なお、物価高などの影響で住宅を取得する件数が不安定になっていることを考慮して、住宅取得にまつわる負担を軽減し、良質な住宅の普及を促すため、住宅取得資金等にかかる贈与税の非課税措置を2024(令和6)年~2026(令和8)年まで延長する運びとなりました。
所得要件 |
贈与を受けた年の受贈者の合計取得金額が2,000万円以下 |
贈与税非課税限度額 |
質の高い住宅(=省エネ住宅) |
1,000万円 |
一般住宅 |
500万円 |
床面積要件 |
50㎡以上
- ※合計所得金額1,000万円以下の受贈者の場合、40㎡以上50㎡未満でも適用される
|
質の高い住宅の要件 |
新築住宅 |
- ①断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上
- ※令和5年末までに建築確認を受けた住宅又は令和6年6月30日までに建築された住宅は、断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上
- ②耐震等級2以上またはは免震建築物
- ③高齢者等配慮対策等級3以上
|
既存住宅・増改築 |
- ①断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上
- ②耐震等級2以上又は免震建築物
- ③高齢者等配慮対策等級3以上
|
申請方法 |
翌年の2月1日〜3月15日までの間に、確定申告 |
■印紙税の減税
新築戸建てにまつわる印紙税の場合、租税特別措置法に基づいて、建設工事の請負に伴って作成される請負契約書が、印紙税の軽減措置が適用され、税率が引き下げられています。なお、この適用については全ての新築戸建てが適用というわけではなく、以下の条件を満たしている場合、適用されます。
- ・記載金額が100万円を超えている
- ・請負に関する契約書の中で、2014(平成26)年4月1日~2027(令和9年)3月31日までの間に作成されたもの
軽減措置の対象となる契約書の印紙税の税率については、課税物件表の規定にかかわらず、以下の表のとおりとなります。
契約金額 |
本則税率 |
軽減税率 |
100万円~200万円以下 |
400円 |
200円 |
200万円~300万円以下 |
1,000円 |
500円 |
300万円~500万円以下 |
2,000円 |
1,000円 |
500万円~1千万円以下 |
1万円 |
5,000円 |
1千万円~5千万円以下 |
2万円 |
1万円 |
5千万円~1億円以下 |
6万円 |
3万円 |
1億円~5億円以下 |
10万円 |
6万円 |
5億円~10億円以下 |
20万円 |
16万円 |
10億円~50億円以下 |
40万円 |
32万円 |
50億円を超える |
60万円 |
48万円 |
■不動産取得税に係る特例措置
住宅を購入した際の負担を軽減するための良質な住宅取得および流通の促進を図る目的として、適用期限を2027(令和9)年3月31日まで不動産取得税の税率を3%に軽減します(本則だと4%)。新築戸建ての場合は、課税標準から1,200万円を控除します。
■固定資産税
新築戸建ての場合、固定資産税を3年間、2分の1に減額します。2026(令和8)年3月31日までとなっており、3年を経過した後の固定資産税の額は、本来の金額に戻る流れとなります。
新築の認定長期優良住宅の場合、固定資産税を5年間、2分の1に減額する特例措置を設けています。
補助金・減税制度を利用する時の注意点
今回ご紹介した補助金・減税制度を利用する場合は、以下の注意点も把握しておきましょう。
■制度変更に注意する
補助金・減税制度は、社会情勢によって制度が変更になる可能性があります。利用する際には、制度変更の情報を確認し、「いつから変更なのか」「何月まで適用しているのか」など、正確で細やかな情報を集めるよう努めましょう。年度の途中で制度が終わることもあるので、制度改正について確認しておきましょう。
■予算の上限が決められている場合がある
補助金と減税制度は、住宅を取得する全ての方が適用されるわけではありません。補助金の中には、予算上限が設定されている場合があるので、必ず事前にリサーチをするようにしてください。
国の補助金を使って新築一戸建てを賢く建てよう
新築一戸建ての補助金制度や減税制度の仕組みを知っておくと、購入コストを大きく下げることできます。ただしこれらの制度は、頻繁に制度変更があったり、予算上限があったりするため、新築を建てる決断をする前には必ず最新の情報を取得するようにしてください。
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