著者:小沢美奈子
節約術と貯蓄術が得意なファイナンシャルプランナー
電気料金が高くなっていると実感されている方も多いと思います。その理由は、電気の使用量が増えていることも考えられますが、それ以外にもさまざまな要因があります。どのような要因があるのでしょうか?まずは電気料金が決定する仕組みを確認しながら、電気料金が高くなる要因についてチェック。さらに、電気料金を賢く節約する方法をご紹介します。
月々の電気代の仕組みを知っておこう
まずは電気料金がどのように決まるかについてお伝えします。
上記の図の通り、電気料金を決める算式は「基本料金(最低料金)」+「燃料費調整額を含んだ電力量料金」+「再生可能エネルギー発電促進賦課金」と、3つの料金で構成されています。
- ・基本料金(最低料金)
基本料金(最低料金)とは、電気を使用しなかった場合でも請求される1契約ごとに設定された料金を指します。
- ・電力量料金(燃料費調整額を含む)
1か月の使用電力量に応じて、あらかじめ設定された料金単価で計算されたものが電力量料金。それに、燃料費の変動(為替レートや原油価格等)を迅速に電気料金に反映させる「燃料費調整制度」に基づいて、毎月算定される燃料費調整単価により計算される「燃料費調整額」が加わります。
- ・再生可能エネルギー発電促進賦課金
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」とは、国の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」によって電力会社が、買取りに要した費用を、電気をご使用のお客さまに、電気のご使用量に応じてご負担いただくものです。
いくら電気代を払っている?平均額と比較してみよう
我が家の電気代は平均と比べて高いのか低いのか。気になる方もいるのでは?総務省が公表している家計調査より、世帯の人数別に電気代の1か月あたりの平均額を確認してみましょう。
世帯人数 |
1か月あたりの 平均電気代 |
単身 |
6,726円 |
2人 |
10,940円 |
3人 |
12,811円 |
4人 |
13,532円 |
5人 |
14,373円 |
6人以上 |
18,941円 |
次に、世帯人員別の四季別(3か月ごと)の平均電気代を確認してみましょう。
電気代は季節ごとに変動があります。冬は部屋を暖めるための暖房代がかかってくるため、電気代は高くなる傾向があるためです。
世帯 人数 |
1~3月 |
4~6月 |
7~9月 |
10~12月 |
単身 |
9,340円 |
5,486円 |
5,842円 |
5,833円 |
2人 |
15,577円 |
10,091円 |
8,930円 |
9,163円 |
3人 |
18,356円 |
12,058円 |
10,285円 |
10,543円 |
4人 |
19,941円 |
12,561円 |
10,689円 |
10,936円 |
5人 |
21,763円 |
13,130円 |
11,124円 |
11,476円 |
6人 以上 |
27,267円 |
15,351円 |
17,474円 |
15,671円 |
さらに、地域別の1か月あたりの平均電気代も確認したいと思います。
世帯人数 |
北海道 |
東北 |
関東 地方 |
北陸 |
東海 |
近畿 |
中国 |
四国 |
九州 |
沖縄 |
単身 |
8,103円 |
6,635円 |
7,252円 |
6,052円 |
7,394円 |
5,513円 |
2人以上 |
13,059円 |
15,020円 |
11,876円 |
15,992円 |
12,316円 |
11,088円 |
14,331円 |
13,359円 |
10,605円 |
10,962円 |
地域別においても冬に寒くなる北海道や東北で電気代が高い傾向が現れました。
電気代が高くなりがちな4つの理由
電気料金が高くなる原因には、さまざまな理由が考えられます。具体的な事例を確認してみましょう。
■1、 多くの電力を消費する家電製品を多用している
家庭における一日での電力消費割合が高い家電製品は、エアコン、冷蔵庫、照明器具の3つが挙げられます(※出典参照)。エアコン、冷蔵庫、照明器具は、省エネ性能の高い商品を選んだうえで、日々消費電力量を抑えた使い方をすることが電気代の節約につながるでしょう。
■2、 契約中のプランがライフスタイルに合っていない
電力会社の各社がさまざまな電気料金プランを用意している中、自分のライフスタイルに合っていないプランを選んでしまうと、電気代が高くなってしまうこともあるかもしれません。そうならないために、まずは我が家の電気の使い方や重視しているポイントを検証したうえで、適したプランを選ぶことが大切です。
なお、関西電力では、お得にポイントがたまるプランのほか、動画配信サービスU-NEXTと関西電力の電気をまとめるプランなど、ライフスタイルやニーズに合わせたさまざまな電気料金メニューが用意されています。参考にしてみてください。
■3、電気を使う量が増えた
たとえば、子どもが夏休みや冬休みなど長期の休みだったり、在宅ワークが増えて自宅にいる時間が長くなったりすると、電気を使う量が増えて当然ながら電気代が上がる結果になります。子どもの長期の休みや在宅ワークが増えそうな時は、電気の使用量が増えることを想定して、あらかじめ電気の使い方について家族で話し合っておくこともよいでしょう。
■4、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金が増えた
電気の使用量が増えたわけではないのに、電気代が高くなることもあります。いくつかの理由があり、その中のひとつに電力量料金の中に含まれている燃料費調整額の変動が挙げられます。なぜなら燃料費調整額は、燃料費の変動が単価に反映される仕組みのため、燃料価格が上昇すると、燃料費調整単価も上昇するからです。
ほかにも、再生可能エネルギー発電促進賦課金が高くなっている場合もあります。賦課金単価の見直しは年に1度行われています。それぞれ電力会社のホームページなどで見られるため、電気代にどのように影響しているのか確認しておきましょう。
このように、電気代が高くなる要因は複数考えられますが、日ごろからホームページをチェックし、電気代が変動する要因を確認する習慣を持っておくとよいでしょう。
高騰している電気代を節約するテクニック
日ごろから電気代を減らす努力をしているけれど、ほかにもっとよい節約方法はないの?と考えている方もいるかもしれません。頑張りすぎる節約は長く続かないもの。次にご紹介するテクニックで、無理のない節約を試してみましょう。
■待機電力に着目
待機電力を減らすことは基本的な節約方法ですが、つい怠りがちなものでもあります。たとえばテレビやブルーレイ・DVDレコーダー、パソコンやプリンターの主電源を切る。長時間使わないときはプラグからコンセントを抜くなど。
また、温水洗浄便座も待機電力が多くなりがちな製品です。便座や温水の設定温度を低くするほか、「節電モード」を備えている機種もあるため、このような機能を活用して無理なく待機電力を減らしましょう。
■省エネ製品を使う
最近の家電製品は、古いものと比べると年々省エネ性能が上がっています。たとえば蛍光灯シーリングライトからLEDシーリングライトへの取り換えで、約50%も省エネになり、電気代も年間2,110円お得になるという報告もあります(※)。新しい家電製品に買い換えることも考えられます。
■窓の断熱性を高める
窓の断熱性を高めることで、エアコンなど冷房・暖房の使用量を抑制することができます。断熱性を高めるには、複層ガラスに変えることが有効です。とはいえ、それなりの費用もかかるため、手軽にできる方法も考えてみましょう。窓ガラスの断熱性を高めるために厚手のカーテンの使用や、通称「プチプチ」と呼ばれている気泡緩衝材を窓に貼ることもおすすめです。暑い日差しを遮るためによしずやシェードを活用することも効果的です。
まとめ
当記事を読んで、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金などが電気料金に含まれていることをはじめて知ったという方もいるかもしれません。世界情勢や円安の影響で燃料価格が高騰している中、今後も電気代が高くなる可能性も否定できません。とはいえ、目の前の電気代を下げたいと思う方が多いはず。手間のかかる節約は続けることが難しくなるため、電気プランを見直す、待機電力を減らす、省エネ家電に買い替えるなどの方法で、賢く節約してみてはいかがでしょうか。