エコキュートとは?電気代を節約する方法 オール電化住宅やガス併用住宅で採用される給湯器の1つが、省エネ電気給湯機「エコキュート」です。この記事では、エコキュートの仕組みや電気温水器・ガス給湯器との違い、エコキュートのメリット・デメリットなどを解説します。また、気になる電気代の相場や節電方法、設置費用や機器の寿命、タンク容量の選び方なども紹介します。 目次 エコキュートとは 1.エコキュートとは 2.エコキュートと電気温水器の違い 3.エコキュートとガス給湯器との違い エコキュートのメリット 1.光熱費が安くなる 2.災害時にお湯・水が使える 3.自治体から補助金が出る場合もある 4.環境にやさしい エコキュートの欠点やデメリット 1.初期費用がかかる 2.設置場所を確保する必要がある 3.お湯切れの心配がある エコキュートの電気代の相場はいくら? 1.エコキュートの電気代の例 エコキュートの電気代を節約する方法 1.最適な電気料金プランを選ぶ 2.お湯切れを起こさない 3.お風呂では追い焚きではなく足し湯を利用する エコキュートに関するよくある質問 1.エコキュートの設置費用や値段の相場はいくら? 2.エコキュートの寿命は何年? 3.エコキュートのタンク容量はどのくらい必要? 【まとめ】ヒートポンプ技術と空気の熱を利用して、エコキュートで電気代を節約しよう エコキュートとは まずは、エコキュートの概要について説明します。エコキュートの仕組みや、電気温水器・ガス給湯器との違いについて、見ていきましょう。 ■エコキュートとは エコキュートとは、ヒートポンプ技術によって空気の熱を利用し、お湯を沸かす家庭用給湯システムの名称です。 機器本体は、大きく分けて「ヒートポンプユニット」と「貯湯タンク」の2つから構成されています。外気をヒートポンプユニットに取り込み、圧縮して高温にし、この熱で貯湯タンク内の水を温めます。 外気から取り出した熱で冷媒を加熱・圧縮して温度を上げ、熱交換器で水を加熱するという仕組みです。 エコキュートは電気で直接お湯を沸かすのではなく、熱源として外気を利用することで、効率よく水を加熱することができる給湯システムです。 ■エコキュートと電気温水器の違い 「エコキュート」はオール電化住宅やガス併用住宅で採用される給湯器ですが、その他の選択肢としては「電気温水器」も挙げられます。 エコキュートや電気温水器を総称して「電気給湯機」といいます。 電気温水器とエコキュートの大きな違いは、熱を作り出す方法です。電気温水器は、電熱ヒーターを使用して、金属に通された電気によって水を直接加熱してお湯を作る点が異なります。 また、電気温水器とエコキュートはお湯を作る仕組みが異なり、エコキュートはヒートポンプを使うため、電気温水器よりも消費電力が少なくなる傾向があります。 ■エコキュートとガス給湯器との違い エコキュートとガス給湯器との違いは、そのエネルギー源と仕組みです。エコキュートはわずかな電力を使いながら、主に外気の熱を使ってお湯を作ります。お湯を使用する度に沸かすのではなく、タンクに貯めて利用する貯湯式であるのが特徴です。 一方、ガス給湯器は都市ガスやプロパンガスなどのガスを燃やし、その熱でお湯を沸かします。その都度お湯を沸かすため瞬間式と呼ばれ、必要なときに必要なだけ使えるのがガス給湯器の特徴です。 エコキュートのメリット ここからはエコキュートのメリットを解説します。光熱費が安くなるだけではなく、災害時にお湯が使えるなどさまざまなメリットがあります。 ■光熱費が安くなる エコキュートは従来型ガス給湯器よりも光熱費が安くなる点がメリットです。 エコキュートでは、夜間の電気料金が安くなるプランがあるため、電気料金が安い夜間にお湯を作り、貯湯タンクに蓄えておき、お湯を使いたい時に貯めたお湯を使用します。そうすることで節約ができるという仕組みです。このように、夜間の電気料金が安いプランに加入することで、ガス給湯器よりもランニングコストを削減することができます。 ※実際の光熱費は各ご家庭の使用状況によって異なります。 なお、関西電力であれば、上記のような夜間の電気料金が安くなるプランとして「はぴeタイムR」をご用意しております。 ■災害時にお湯・水が使える 災害時など、お湯や水を使うことができなくなる場合がありますが、エコキュートなら、貯湯タンクにお湯をまとめて蓄えておけます。そのため、電気がストップしても、貯湯タンク内に水やお湯が残っていれば使うことができるのです。また、断水した場合にも非常用取水栓から取り出し て、生活用水として使用できます。 停電や断水、災害などの万が一のときにも、お湯や水を使用できる点は、非常に安心できるポイントです。エコキュートが多くの家庭で採用される理由の1つでもあるでしょう。特に地震の多い日本において、エコキュートは、非常時にも役立つ給湯器となっています。 停電・断水時における対応については、以下のページで詳しく説明しています。 電気給湯機における非常時の対応 ■自治体から補助金が出る場合もある エコキュートを導入する際には、国や自治体からの補助金制度を利用できる場合があります。その1つとして、2024年5月時点では「給湯省エネ2024事業」という制度があります。 この制度は、エコキュートが設置された新築分譲住宅の不動産売買契約や、新築注文住宅にエコキュートを購入・設置する場合の工事請負契約などが対象となっています。分譲住宅の場合は戸建だけでなく、マンション等の共同住宅にも適用されます。 また、エコキュートをリフォームで導入する際の工事請負契約や、中古住宅で古くなった給湯器からエコキュートに交換する工事も補助金の対象となります。 給湯省エネ2024事業の補助金の対象は、着工日の期間が2023年11月2日~遅くとも2024年12月31日までの場合で、戸建住宅なら2台まで、マンション等の共同住宅なら1台までとなります。受けられる補助金の基本額は1台あたり8万円です。 これらは、エコキュート等、省エネ給湯器ならではの補助金制度です。 ■環境にやさしい エコキュートは、外気の熱と少量の電気をエネルギー源とする給湯システムです。再生可能エネルギーである「空気の熱」を利用してお湯を沸かすため、二酸化炭素の排出量が少なく、環境にやさしいとされています。 さらにエコキュートは、投入エネルギーに対して3倍※もの熱エネルギーを得ることができる給湯器であり、エネルギー効率が高く、省エネにもつながっています。また、電気だけでお湯を沸かすため、火災のリスクが低い点も注目されています。 ※年間給湯保温効率(JIS)が3以上の場合。ご使用の状況等により異なる場合があります。 エコキュートの欠点やデメリット 先ほどはエコキュートのメリットをお伝えしましたが、 デメリットも押さえておきましょう。 ■初期費用がかかる エコキュートは、機種によっては初期費用が高くなる場合があります。たとえば電気温水器や一般ガス給湯器・エコジョーズよりは費用がかかる傾向があります。 ただし、電気料金の契約プランを見直すことで、初期費用も抑えることが可能です。たとえば関西電力では、新築住宅向けに「はぴeセット ソラレジ」、既存住宅向けに「はぴeセット」といった、一定量の電気料金と機器本体のリース料金をセットにし、機器の初期費用を0円~にしたパッケージメニューも用意しています。 ■設置場所を確保する必要がある エコキュートを導入する場合は、ヒートポンプユニットと貯湯タンクを設置する場所が必要です。 ただ、エコキュートには角型(標準型)・薄型・省スペース型があり、設置場所に合わせて薄型や省スペース型を選択することも可能です。たとえば、角型(標準型)の貯湯タンクのサイズは幅と奥行きは約70~80cm、高さは2m前後です。薄型は幅が1m程度ありますが、奥行は40~45cm程度となっています。 貯湯タイプの給湯器を設置する場合は、ある程度のスペースが必要となりますが、状況に応じて薄型などを選ぶと良いでしょう。 ■お湯切れの心配がある 「お湯切れ」とは、一部の電気温水器などの給湯器において、夜間に電気を使って沸かしたお湯を貯めておき、日中に使用する際に、予期せずにお湯がなくなる状態を指します。 しかし、現在のエコキュートには学習機能が搭載されており、自動的にお湯を沸かすタイミングを調整できるため、お湯切れになる可能性は限りなく少なくなっています。 エコキュートの電気代の相場はいくら? エコキュートは外気を利用してお湯を沸かす仕組みのため、電気代はその日の気温にも影響される点が特徴です。また、契約している電気料金プランや居住地、使用する時間帯、機器の熱効率などによっても電気代は変わります。 ■エコキュートの電気代の例 ここでは関西電力の「はぴeタイムR」の電気料金プランを例に、エコキュートの電気代をご紹介します。 料金プランを「はぴeタイムR」にし、給湯器にはエコキュートを導入、キッチンの調理器はIHクッキングヒーターを利用する場合の料金例です。 4LDKの戸建住宅に4人家族で暮らす場合、 年間の電気料金は約194,900円です。 月々に換算すると、194,900円÷12≒16,242円となります。 なお、この金額にはエコキュートの電気代だけではなく、IHクッキングヒーターにかかる電気代なども含んでおり、クレジットカード支払いを想定したものです。さらに、IHクッキングヒーターの設置を条件とした5%の電化割引を適用しています。 また、ガス給湯器とガスコンロを利用する場合のランニングコストの試算は、ガス料金が年間約113,000円、電気料金が年間約152,500円となり、合計約265,500円となります。 なお、ガス料金は大阪ガスの一般料金、電気料金は関西電力の従量電灯Aを適用しています。 よって、ガス給湯器とガスコンロの利用を、エコキュートとIHクッキングヒーターに替え、料金プランを「はぴeタイムR」にすると、年間で約70,600円※もの金額がお得になる計算です。 ※メリット額は、燃料費調整額(電気)・原料費調整額(ガス)を含まず、再生可能エネルギー発電促進賦課金(電気)を含みます。また、電気・ガスともに契約メニューによって燃料費調整額・原料費調整額の単価および上限の有無が異なります。実際のメリット額は、電気・ガスのご使用状況のほか、燃料費調整額・原料費調整額および再生可能エネルギー発電促進賦課金により変動し、これらの増額により、電気料金、ガス料金が変更前よりも高くなる可能性もあります。電気料金・ガス料金の計算方法や燃料費調整額・原料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金の最新単価や過去の推移は、こちらからご確認ください。 (試算条件) ※当社試算に基づいたもので、実際の光熱費は各ご家庭の使用状況によって異なります。別途、機器購入費用、工事費用が必要です。 ※エコキュート等の電気給湯機を設置した上で、「はぴeタイムR」にご加入いただいたお客さまが、据え付けて使用する電磁誘導加熱調理器等のクッキングヒーターを設置いただき、電化割引の適用を希望され、当社との協議が整った場合は、電化割引を適用し、電気料金から割引対象額(基本料金と電力量料金(燃料費調整額は含みません)の合計額)の5%を割引いたします。 ※その他の試算条件はこちら をご確認ください。 エコキュートの電気代を節約する方法 ここからは、エコキュートの電気代をさらに節約する方法を紹介します。 ■最適な電気料金プランを選ぶ 電気料金を下げるために最も大切ともいえることは、最適な電気料金プランを選ぶことです。エコキュートでは、夜間の電気料金が安くなるプランを選ぶと良いでしょう。 夜間の電気料金が安くなるプランにもいくつか種類があるので、自身の生活スタイルにあわせて選ぶ必要がありますが、関西電力であれば「はぴeタイムR」「はぴeセット」を選択するとよいでしょう。 ■お湯切れを起こさない エコキュートの電気料金が安くなる要因としては、電気料金が割安な夜間に電気を使うことが挙げられるため、昼間にお湯切れを起こさないことは、節約する上で重要です。 ただし、昨今では学習機能が付いており、通常の使用方法であればお湯切れを起こすことはほとんどないでしょう。 ■お風呂では追い焚きではなく足し湯を利用する 追い焚き機能や自動保温機能は、お風呂の時間を楽しむ際に便利な機能です。しかし、電気代を節約することを考えると、追い焚きや保温をするよりも、高温のお湯を足して温度を調整する方がランニングコストは抑えられます。 ただし、湯船につかりながら高温のお湯を足すのは危ないため、入浴する前にお湯を足しておき、温度を調整するとよいでしょう。 エコキュートに関するよくある質問 ここではエコキュートに関するよくある質問にお答えします。費用や設備機器の寿命、タンク 容量など、気になる項目をチェックしてみてください。 ■エコキュートの設置費用や値段の相場はいくら? エコキュートの設置費用は「工事費」と「エコキュートの本体価格」から成り立ちます。 本体価格は機種やメーカーによりますが、以下の価格が目安となっています。 タンク容量 タイプ 本体価格(税別) エコキュート 電気温水器 550L フルオート 110~120万円台 80万円台 給湯専用 90万円台 60~70万円台 460L フルオート 100~110万円台 70万円台 給湯専用 80万円台 50~60万円台 370L フルオート 90~110万円台 60万円台 給湯専用 70万円台 40~50万円台 また、工事費は施工を行う業者によって異なりますが、一般的には工事費10万~25万円程度となっています。 ■エコキュートの寿命は何年? エコキュートの寿命は何年とは一概にいえません。ただ、メーカーが保証している期間は、最長10年程度です。 大手メーカーでは、給湯器本体の無償保証期間は2年間、熱交換器は3年間、貯湯タンクの缶体は5年間の保証となっています。 さらに延長保証期間の制度もあり、保証料を支払うことによって、メーカー保証期間と延長保証期間を合わせて、合計で5~10年程度の保証を受けることが可能です。 ■エコキュートのタンク容量はどのくらい必要? エコキュートの貯湯タンクの容量は、370L・460L・550Lの3種類が一般的です。メーカーによっては、少人数用に300Lを展開している場合もあります。 機種を選ぶ際は、タンクの容量と使用できるお湯の量は違うという点を認識しておきましょう。実際にお湯を使う際は「タンクの熱湯」と「水道水」を混ぜて温度を調整するため、タンク容量より多く使えることとなります。 エコキュートの容量は、家族の人数で決めるとよいでしょう。 一般的には、人数ごとに以下の容量が目安とされています。 世帯人数 タンク容量 2~4人 300L 3~4人 370L 4~5人 460L 5~7人 550L 【まとめ】ヒートポンプ技術と空気の熱を利用して、エコキュートで電気代を節約しよう エコキュートとは、ヒートポンプ技術を活用した給湯システムで、従来型のガス給湯器や電気温水器とはお湯を沸かす仕組みが違うため、エコキュートの電気代の方が割安になる傾向にあります。 エコキュートは電気料金の安い夜間電力でお湯を沸かすだけではなく、空気の熱を利用することで電気代を抑えられるのです。 さらに、導入にあたって自治体からの補助金制度が受けられる可能性もあります。給湯器の新設や入れ替えを検討している方は、この機会にエコキュートの導入を考えてみてはいかがでしょうか。