オール電化の賃貸物件のメリット・デメリット 賃貸物件への入居を検討していると、オール電化の賃貸物件を目にすることも多いのではないでしょうか。オール電化の物件は、他の賃貸物件にはない設備が整っており、安心・快適・便利に過ごせるという良さがあります。 本記事では、オール電化の賃貸物件の特徴や設備をはじめ、メリット・デメリットについても解説します。オール電化の賃貸物件が気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。 目次 オール電化の賃貸物件における特徴や設備について 1.IHクッキングヒーター 2.電気給湯機 3.床暖房 オール電化の賃貸物件のメリット 1.安全機能が充実している 2.熱効率がよく夏場でも快適に調理できる 3.キッチン周りのお手入れが楽 4.災害などによる断水時に生活用水が確保しやすい 5.使い方によっては光熱費を節約できる オール電化の賃貸物件のデメリット 1.キッチンツールに制限がある 2.設備によって光熱費に大きな差が生じる 3.電気給湯機の湯切れに注意が必要 4.停電した場合にあらゆる設備が機能しなくなる オール電化の賃貸物件で賢く節約するためのコツ 1.夜間にタイマーを設定しておく 2.使用状況に応じて設定を変える 3.調理器具を工夫する ZEHオール電化マンションの賃貸物件 【まとめ】賃貸物件でもオール電化を検討してみよう オール電化の賃貸物件における特徴や設備について ここでは、オール電化住宅で使用されている主な設備を3つご紹介します。 ■IHクッキングヒーター コンロと聞くと、ガスコンロを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、オール電化住宅の場合は「IHクッキングヒーター」が用いられていることが多いです。 IHクッキングヒーターは、磁力で渦電流を発生させ、その電気抵抗によって鍋を熱しています。 ■電気給湯機 オール電化の物件では、電気給湯機として知られる「エコキュート」や「電気温水器」を用いてお湯を温めています。築年数が古い物件では電気温水器が用いられていることもありますが、築浅の物件ではエコキュートが主流となっています。 電気温水器にはヒーターが内蔵されており、金属に電気を通すことによって電熱ヒーターを温め、お湯を作ります。それに対してエコキュートは、外気を利用したヒートポンプによってお湯を加熱し貯湯タンクに貯める仕組みです。 電気温水器と異なり、エコキュートは自然エネルギーである外気を活用していることから、環境保護の一助になるとして国や自治体が導入を促進しています。 また、両者はかかる電気代も異なります。空気熱を利用した「ヒートポンプ技術」を搭載しているエコキュートの熱エネルギーは使う電気の3倍以上※になります。同量同温度の水に対してなら、電熱ヒーターによって水を温める電気温水器の方が、電気使用量が多くなる点に注意しましょう。 ※JIS効率が3以上の場合 ■床暖房 オール電化の物件のなかには、床暖房を取り入れている物件もあります。床暖房とは床下にヒーターや温水が通るパイプを通し、床材を加熱することによって部屋全体を温める暖房装置です。 床暖房は電熱線に通電して加熱する「電気式」と、ヒートポンプで熱した温水を床下に通す「電気温水式」に大別されます。 電気式は、床材の下に取り付けた電気式のヒーターに通電することで発熱させ、床を温める仕組みになっており、一方の電気温水式は床下に設置した専用のパイプに温水を循環させることで床を温める仕組みを採用しています。 電気給湯機としてエコキュートを設置している場合、電気温水式が採用されていることが多く、エコキュートで沸かしたお湯を床下に設置されたパイプに流すことで床を暖かくしています。 オール電化の賃貸物件のメリット オール電化には、さまざまなメリットがあります。ここでは、オール電化の賃貸物件に住むメリットを5つ紹介します。 ■安全機能が充実している IHクッキングヒーターの安全機能として、一定時間を過ぎると自動的に通電をストップする「切り忘れ防止」機能や、鍋の空だき状態を防止するための「空だき自動OFF」機能などがあります。 ※メーカーや機種によって異なります。 このように、IHにはうっかりミスに備える安全機能が充実しており、子どもからお年寄りまで安心して調理できるのもメリットのひとつです。 ■熱効率がよく夏場でも快適に調理できる IHクッキングヒーターの方がガスコンロより熱効率が高いのも特徴です。火を使わずに電気の力で鍋やフライパンを発熱させる仕組みのため、ほとんどの加熱エネルギーを調理に活かすことができ、コンロの周辺はもちろん、キッチン内も暑くなりにくくなっています。 特に夏場など、揚げ物や炒め物など料理をするだけで汗ばんでしまう方も多いのではないでしょうか。 その点、IHクッキングヒーターであれば冷房や扇風機を利用しても火が消える心配がありません。暑い季節であっても快適に調理が楽しめるのは、メリットといえるでしょう。 ■キッチン周りのお手入れが楽 ガスコンロと比較し、IHクッキングヒーターは表面の凸凹が少ないことから、お手入れが簡単です。油や調味料が飛び散ってしまっても、調理後にさっと拭き取るだけできれいな状態を保つことができるでしょう。 また、IHクッキングヒーターは内部のコイルに電流が流れることによって熱を起こすため、ガスコンロを用いた場合と異なりガスが燃焼する際の臭いや二酸化炭素の発生が大きく抑えられます。また、空気の対流による油の飛び散りも抑えられるほか、壁や換気扇も汚れにくくなります。 ■災害などによる断水時に生活用水が確保しやすい ライフラインがストップしてしまうような災害時、エコキュートなどでは停電中に新たなお湯を沸かすことはできませんが、貯湯タンク内に残っているお湯・水は非常用給水口から取り出して使える場合があるため、エコキュート自体が生活用水の確保にも役立ちます。 ※機種によって利用できない場合があります。飲用ではありません。 ■使い方によっては光熱費を節約できる 光熱費の節約が期待できる要因としては、家庭の消費エネルギーのうち約3割を占める給湯を、エネルギー効率がよいエコキュートで行うことが挙げられます。 また、オール電化住宅の方におすすめの電気料金プランが「はぴeタイムR」です。エコキュートなどの電気給湯機は、料金単価が割安な夜間の時間帯に、お湯をまとめて作り、貯湯して使います。そして昼間に必要な量を使うことで、光熱費の節約ができる仕組みです。 加えて、使い方の工夫(電気料金が割安な時間帯へのシフト)ができる点も挙げられます。 オール電化の賃貸物件のデメリット オール電化の賃貸物件にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここではオール電化の賃貸物件のデメリットについて、見ていきましょう。 ■キッチンツールに制限がある IHクッキングヒーターはガスコンロに比べて火力が劣るわけではなく、強い火力が必要となる炒め物や揚げ物といった料理にも十分対応できます。 ただし、火を使わない以上、直火であぶるといった調理には対応できず、調理器具もIHクッキングヒーターに対応しているものに限られる点に注意が必要です。 IHクッキングヒーターに対応している材質としては鉄やホーロー、ステンレスが挙げられ、鍋底に磁石がくっつくものであれば基本的に使用できます。アルミ鍋や土鍋、耐熱ガラス鍋は使用できませんが、最近では底面に一部加工を施したIH対応鍋も少しずつ増えています。 ITクッキングヒーターで使用するキッチンツールを購入する際は、IHに対応しているかどうかをきちんと確認しましょう。 ■設備によって光熱費に大きな差が生じる 電気温水器を採用している賃貸物件の場合、エコキュートのようなヒートポンプ技術が搭載されておらず、電気使用量が多くなる傾向にあります。 ■電気給湯機の湯切れに注意が必要 エコキュートや電気温水器は電気料金の安い夜間にまとめてお湯を作り、タンクへ貯めておく仕組みになっています。そのため、お湯を使う度にガスでお湯を沸かすガス給湯器と異なり、タンクのお湯を使い切ってしまう「お湯切れ」に注意が必要です。 一般的な電気給湯機には、湯切れ防止のために貯湯量が少なくなったときに自動でお湯を湧かす「自動沸き増し機能」が搭載されています。ただ、その場合、電気代が安い夜間ではない時間帯にお湯を沸かすことになってしまいます。 オール電化の賃貸物件を借りる際は、家族の人数に応じたタンク容量となっているかどうかを確認するほか、生活リズムに合わせて設定を変更するとよいでしょう。 また、タンク容量については、想定よりも少し大きめのタンクが搭載されている物件を選ぶことで、お湯切れを起こすリスクをより低減できます。 ■停電した場合にあらゆる設備が機能しなくなる IHクッキングヒーターや床暖房が導入されている場合、停電時にそれらを利用できなくなってしまうというデメリットがあります。 災害時に備えて、電気が復旧するまでの時間をしのぐために、カセットコンロとカセットボンベガスなどを備えておくとよいでしょう。 とはいえ、ガスコンロの場合であっても、乾電池式のガスコンロであれば停電時に影響を受けませんが、最近では電気系統を使って管理しているモデルもあるため、確認しておくことをおすすめします。 オール電化の賃貸物件で賢く節約するためのコツ オール電化住宅での電気代が気になる方も多いかもしれません。ここではオール電化の賃貸物件で賢く節約するためのコツをいくつか取り上げてみました。 ■夜間にタイマーを設定しておく 先にも述べたように、当社は、オール電化住宅の方におすすめの夜間の料金単価が割安な電気料金プラン「はぴeタイムR」を用意しています。 電気給湯機などは夜間に自動的に作動し、お湯を貯める仕組みを採用していることがほとんどですが、食洗機や洗濯機などの他の機器で、電気代が割高な昼間の時間帯を避け、夜間に作動させたい場合は「タイマー機能」を利用するのがおすすめです。 食洗機や洗濯機にあらかじめ食器や洗濯物を入れておき、夜間に運転するように設定することで電気代の節約が見込めます。炊飯器や自動調理鍋なども、寝る前にタイマーをセットしておけば、朝起きてすぐに炊きたて・できたての料理を楽しめるというメリットもあります。 ■使用状況に応じて設定を変える エコキュートでの電気使用量を抑えるコツとして、使用状況に応じて設定を変えることが挙げられます。 エコキュートでは貯湯タンク内のお湯を温めてお風呂などに利用しますが、1日の使用量が少ないにもかかわらず使用量を「多め」に設定してしまったり、必要以上の炊き上げ温度に設定してしまったりすると、電気代が余分にかかってしまいます。 そのため、各家庭の使用状況に合わせた設定を行うことが大切です。多くの給湯設備には「節約モード」や「おまかせモード」といった省エネ設定があるため、一度確認したうえで設定を変更することをおすすめします。 ■調理器具を工夫する IHクッキングヒーターが設置されている場合、調理器具の選定も重要です。たとえIHクッキングヒーターに対応している鍋であっても、重さや形によっては熱が十分に伝わるまでに時間がかかるため、その分余計な電気代を使ってしまうことになります。 無水調理鍋や圧力鍋など短い時間で調理できる調理器具も賢く活用して、省エネに努めることも効果的です。 ZEHオール電化マンションの賃貸物件 昨今ではZEH(ゼッチ)マンションの普及が増えてきています。 ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」のことです。快適な室内環境を保ちながら、住宅の高断熱化と高効率設備によって、できる限り省エネを図り、太陽光発電等で生み出したエネルギーを活用してエネルギー収支が「ゼロ以下」となる住宅を指します。 その条件を達成するため、ZEHマンションには下記のような高効率なオール電化設備が導入されているケースが多いです。 ・太陽光発電 ・高効率給湯設備 ・高効率エアコン ・高効率換気設備 ・LED電球 ・高断熱材 結果、入居者の光熱費が削減できることが多く、ZEHマンションを選択する方もおられます。 さらに、関西電力では、オール電化向け電気料金メニュー「はぴeタイムR」と太陽光発電を組み合わせることで、1日の電気を賢く使い分けられます。 これから賃貸物件を探す方はもちろん、引越しを検討している方もこの機会にZEHオール電化マンションを候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。 【まとめ】賃貸物件でもオール電化を検討してみよう 今回はオール電化の賃貸物件における設備やメリット・デメリット、ZEHオール電化マンションについて解説しました。オール電化の賃貸物件を選ぶことで、IHクッキングヒーターの安全機能が充実している、火を使わないことでキッチン内が暑くなりにくい、お手入れが楽になる、といった利点があります。 また、使い方によっては光熱費の削減につながります。自分や家族のライフスタイルを考慮することはもちろん、メリット・デメリットの両面を踏まえたうえでオール電化の賃貸物件に住むかどうかを決めるようにしましょう。