太陽光発電の仕組みとは?かかる費用やメリット・デメリット 太陽光発電についてなんとなく知ってはいるものの、どのように電気を生み出しているのか、またどんなメリット・デメリットがあるのかわからないといった方も多いのではないでしょうか。そこで今回の記事では太陽光発電の導入にかかる費用や、メリット・デメリット、設置費用を抑えるためのコツについて紹介します。 目次 太陽光発電の仕組みとは 太陽光発電のメリット 1.環境に優しい 2.収入が得られる 3.災害時に役立つ 太陽光発電のデメリット 1.導入コストがかかる 2.天候や季節によって影響を受ける 3.メンテナンス費用がかかる 太陽光発電を導入する際の注意点 1.日射量が確保できる場所にあるか 2.太陽光発電に適している屋根の形状・エリアであるか 太陽光発電の導入・設置費用を抑えるコツ 1.補助金制度を利用する 2.業者選びを慎重に行う 【まとめ】太陽光発電のメリット・デメリットを理解して導入を検討しよう 太陽光発電の仕組みとは 太陽光発電とは、太陽光から直接電気を作る太陽電池を利用した発電方式のことです。太陽光発電といえば以前は産業用が主流でしたが、昨今では家庭用も普及しつつあります。 近年は住宅の着工件数が減少傾向にあるため、家庭用の普及は少し停滞しているものの、代表的な再生可能エネルギーであることから、今後も幅広く活用されることが期待されています。 ソーラーパネルに用いられる太陽電池は、プラスを帯びやすい「p型半導体」と、マイナスを帯びやすい「n型半導体」が貼り合わさってできており、それぞれの半導体が「導線」で結ばれています。 そこに太陽光が当たることでp型半導体には「正孔(+)」が、n型半導体には「電子(-)」が集まり、導線を通じて電子(-)が正孔(+)の方へと移動します。 電子の流れが乾電池と同じ状態になることから、光エネルギーが当たり続ける限り電気が発生します。この現象を「光起電力効果」や「光電効果」といいます。 ただし、太陽光発電で作った電気を家庭で利用するためには、パワーコンディショナーと呼ばれる機器が必要です。 普段私たちが使っている電気は、電力会社から送電される「交流電力」という電力を用いています。一方で、太陽光発電で発電した電気は「直流電力」と呼ばれ、そのまま家庭で使用することができません。よって、パワーコンディショナーで「直流電力」から「交流電力」へと変換する必要があります。 なお、気になる太陽光発電の発電量ですが、太陽光発電協会(JPEA)によれば設置容量1kWあたり年間で約1,000kWh※の発電ができるとされています。 ※ソーラーパネルを水平に対して30度傾け、真南に向けて設置した場合の計算例。地域やソーラーパネルの方位、傾斜角度、経年等の諸条件により発電量は変わります。 太陽光発電のメリット では、太陽光発電にはどんなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを3つ紹介します。 ■環境に優しい 日本の発電事業におけるエネルギー源のうち火力発電が一定の比重を占めています。火力発電は化石燃料を燃やすことで発電していますが、地球温暖化の原因となるCO2などの温室効果ガスが発生することが課題とされています。 一方、太陽光発電は発電の際にCO2を排出することはありません。また、燃料枯渇の心配もなく繰り返し発電できることから、クリーンなエネルギーであるといえるでしょう。 太陽光発電や風力発電など、資源の枯渇やCO2の排出を心配する必要のないエネルギーのことを「再生可能エネルギー」と呼びます。家庭に太陽光発電を導入することでCO2の削減に取り組めるでしょう。 ■収入が得られる 太陽光発電システムで発電した電気は、自宅での使用はもちろん電力会社への売却が可能です。売電価格は一定期間固定されており、太陽光発電を売電する仕組みのことを「固定価格買取制度(FIT)」と呼びます。 また、売電できる期間は経済産業省によって以下のように定められています。 10kW未満:10年間 10kW以上:20年間 太陽光発電の利用によって節電が期待できるだけでなく、10年間の売電収入を得られるのは嬉しいメリットといえるでしょう。得た収入を電気代に回すことで節約につなげることもできます。 なお、FIT期間が終了したあとであっても、各電力会社と契約を結ぶことで売電の継続が可能です。ただし、FIT制度は今後見直される可能性があるため、太陽光発電を導入しようと検討している人はなるべく早い段階でスタートすることをおすすめします。 ただし、売電価格は年度ごとに見直され、1kWh当たりの価格は年々少しずつ下がってきています。 詳しくは経済産業省環境エネルギー庁 FIT・FIP制度を参照ください。 ■災害時に役立つ 万が一地震や火災、洪水などの被害で電気の供給が止まってしまった場合でも、自立運転機能を持った太陽光発電システムであれば電気を使えます。自立運転機能とは停電時に自家発電モードへ切り替える機能が備わった機種が多く発売されています。 指し、大半の太陽光発電設備に備わっています。 家電や携帯電話の充電など、生活する上で必要となる電力が緊急時でも使えることは大きなメリットでしょう。 また、太陽光発電と蓄電池をセットで利用することで、太陽光発電で作り出した電力を蓄電池に貯めておくことができます。つまり、蓄電池の併用によって発電しすぎてしまった電気を蓄電池に貯めておき、電気を発電できないときに活用できるでしょう。 災害時はもちろん、梅雨の時期や太陽光が当たらない夜間も、日中の太陽光で発電した電気を利用できます。 太陽光発電のデメリット 太陽光発電にはさまざまなメリットがある一方で、注意しなければならない点もあります。ここでは、太陽光発電のデメリットを解説します。 ■導入コストがかかる 太陽光発電の導入にあたっては、ソーラーパネルやパワーコンディショナーなどの設備が必要となることから一定の費用がかかります。設置にあたって足場が必要となれば、その分もプラスでかかってしまうでしょう。 しかし、資源エネルギー庁の調査によれば、近年、住宅用太陽光発電のシステム費用は新築案件・既存案件ともに低減傾向にあります。 (出典:資源エネルギー庁|太陽光発電についてをもとに作成) 上記のグラフより、設置年別に新築物件におけるシステム費用を見ると、2022年設置の平均値は26.1万円/kWとなっています。2021年設置よりも1.0万円/kW、2020年設置よりも2.2万円/kW減少していることから、導入コストは減少傾向にあるでしょう。 導入コストが気になる方向けに、関西電力では、一定量までの電気と太陽光発電設備等の機器が月々コミコミ定額になるサブスクメニュー「はぴeセット ソラレジ」もご用意しております。 ■天候や季節によって影響を受ける 太陽光発電は、天候や季節などによる日照量の変化に影響を受けます。昨今はソーラーパネルの性能が上がっているとはいえ、雨が多い梅雨の時期や、日照時間が短い冬場は発電量が落ちてしまいます。 しかし、一年中悪い天候が続くわけではなく、1年を通して見ると日射量はほぼ平均化されます。 また、日射量が少なく太陽光発電で家庭用電気を賄えない場合、電力会社から電力を購入可能です。よって、発電できなくてもそれほど不便を感じることはないでしょう。 一方で、住んでいる地域や住宅の立地によっても発電量は異なりますので、導入前にきちんと下調べをしておくだけでなく、設置する際は日が十分に当たる位置や角度になっているかも確認することが大切です。 ■メンテナンス費用がかかる 太陽光発電は一度設置してしまえばランニングコストがほぼかからない、「メンテナンスフリー」の発電方法であると思っている方も多いかもしれません。 確かに太陽光発電の寿命は15~20年ほどと長いものの、効率的に発電を続けるためには定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。2017年4月1日に施工された改正FIT法によっても、点検が義務づけられています。(一部の家庭用設備については例外あり) 太陽光発電の定期点検では主に、ソーラーパネルやパワーコンディショナーといった周辺機器の点検をはじめ、電圧測定や絶縁抵抗測定などの数値測定を行います。また、点検とは別にソーラーパネルの定期的な清掃も必要になってきます。 ソーラーパネルは主に屋根や屋上に設置するため、砂埃や鳥のフン、花粉などが表面に付着してしまうことも少なくありません。自分で清掃を行うと故障や破損の恐れがあるため、専門業者に清掃や洗浄を頼んだ方が安心でしょう。 このように、太陽光発電を維持するためには一定のメンテナンス費用がかかることは前もって知っておくとよいでしょう。 太陽光発電を導入する際の注意点 太陽光発電のメリットとデメリットについて理解したところで、実際に導入する際の注意点について見ていきましょう。 ■日射量が確保できる場所にあるか 地域によって日射量には多少の差があるものの、年間を通してみれば発電量の増減はさほど大きくありません。しかし、設置場所が以下に挙げる特徴に当てはまる場合、そもそも太陽光発電の設置場所として適していない恐れがあるため注意が必要です。 特徴 不向きとされる理由 屋根が北向きである 北向きの場合、太陽の直射日光が当たらない。 屋根が小さい 発電量が限られてしまい、コスパが悪い恐れがある 周囲に高い建物や木がある 周囲に高い建物や木があると影となり、発電効率が下がる 塩害や積雪が多い地域に住んでいる 潮風の影響でソーラーパネルが錆びやすく、海岸から一定距離までの地域では設置が不可とされている、また、積雪が多い地域もパネルが雪の影となることから、発電効率が上がりにくい 上記に挙げた特徴以外にも設置を検討している場所に不安がある場合、専門業者に相談することをおすすめします。 ■太陽光発電に適している屋根の形状・エリアであるか メーカーによっても異なりますが、太陽光パネルの重量は、1㎡あたり約12kgと言われています。一般的な住宅の場合、20~40㎡の面積に太陽光パネルを設置することになることから、屋根全体に対しておよそ240~480kgの負荷がかかることになります。 太陽光発電のパネルの重さが1カ所に集中するわけではありませんが、設置場所となる屋根の形状や角度等について確認しておくことが大切です。専門業者に見てもらうことをおすすめします。 太陽光発電の導入・設置費用を抑えるコツ ここでは太陽光発電の導入・設置費用を抑えるコツについて、紹介します。 ■補助金制度を利用する 住宅用の太陽光発電システムに対する、国の補助金制度は2014年に廃止されました。その理由として、太陽光発電の普及が進むにつれ設置費用が低減傾向にあることが挙げられます。 とはいえ、自治体によっては独自に太陽光発電の導入に対して補助金制度や共同購入支援事業を設けているところもあるため、前もって確認しておくことが大切です。 また、蓄電池の導入に当たっては国でも補助金制度を実施している場合があります。申請期間が決められているケースが多いため、こまめにお知らせを確認するとよいでしょう。 ■業者選びを慎重に行う 太陽光発電の設置においては、信頼の置ける業者を選ぶことも欠かせません。太陽光発電が一般住宅に普及してからまだ日が浅く、業者によってスキルに大きな偏りが生じているのが現状です。太陽光発電の販売施工業者を選ぶ際に意識したいポイントを以下に挙げてみました。 価格が安いという理由だけで会社を決めない 実績とノウハウのある会社に依頼する アフターサービスや保証制度が充実している会社を選ぶ 太陽光発電の設置業者を選ぶときは、複数社に見積もりを依頼して比較検討することをおすすめします。ただし、その際、あまりに安い価格を提示された場合には注意が必要です。 そもそも太陽光発電はしっかりと設置場所を調査し、屋根の状態や顧客のニーズを確認した上で、必要となる工程や機器などを計算して見積もりを出さなければなりません。 また、設置に当たって人件費や材料費、足場代などが生じれば、それ相応に費用がかかることは確かです。そうした点を踏まえ、価格が安いという理由だけで会社を決めることはおすすめしません。 加えて、実績とノウハウがある会社に依頼することはもちろん、アフターサービスや保証が充実している会社を選ぶことも大切です。先にも述べたように、太陽光発電の寿命は15~20年と長期にわたることから、それだけ施工業者との付き合いも長くなります。 トラブルや動作不良が生じた際、すぐに相談できる、信頼の置ける業者を選ぶようにしましょう。 業者によっては、ソーラーパネルの洗浄・鳥のフンへの対応などきめ細やかなアフターフォローを実施している会社もあります。業者を検討する際は、こうした保証やメンテナンスについてもきちんと確認することを意識しましょう。 【まとめ】太陽光発電のメリット・デメリットを理解して導入を検討しよう 今回の記事では太陽光発電の仕組みや導入費用、またメリット・デメリットについてお伝えしました。太陽光発電を導入することで環境保全に貢献できるだけでなく、余った電気を売ることで収入も得られます。 以前は導入費用が高額であることを理由に、一般住宅で導入するケースはそれほど多くありませんでした。しかし、昨今では設置費用が低減傾向にあることから導入のハードルが下がっているといえるでしょう。 興味がある方はこの機会にぜひ、太陽光発電の導入について検討してみませんか。