著者:三枝徹
家計にやさしい金融情報を解説するファイナンシャルプランナー
家族で自宅のお風呂に入浴する際、人によって入浴する時間帯が違う場合があります。前の人がお風呂から出た後に、次の人が入浴するまでの時間が長い場合には、お湯の温度も下がるため、追い焚きによってお湯を沸かしなおしたり、風呂自動で保温しつづけたりする必要があります。
なるべく光熱費がかからない方法で、お風呂を温かいまま利用したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、追い焚きと風呂自動の違いや利用時の注意点、どちらが光熱費は安くすむのか、光熱費を節約するための工夫について、詳しく解説します。
追い焚きと風呂自動の違い
まずは、追い焚きと風呂自動の違いについて解説します。
<サマリ>
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追い焚き |
風呂自動 |
| 機能 |
浴槽内の冷めたお湯を循環させて温め直す機能。
風呂自動機能の一部として搭載されるほか、追い焚き単機能の給湯器も存在する。
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設定温度・湯量での自動湯はりから自動停止、温度低下時の保温までを自動で行う機能。 機種によっては自動たし湯などの機能を備える。 |
| 光熱費の傾向 |
利用間隔が短いと割高。追い焚き回数が増えるほど光熱費が発生するので注意。 |
利用間隔が短いなら効率的/長時間保温は割高 |
- ※実際の給湯器の性能や光熱費は、メーカーや機種、ご利用状況によって異なります。
- ※上記表の「風呂自動」の光熱費の傾向は、機能のうち、保温に関する内容のみを対象としており、追い焚きは含んでいません。
■追い焚きの仕組みと特徴
追い焚きとは、一度貯めた浴槽内の冷めたお湯を循環させて温め直す機能を指します。風呂自動機能の一部として搭載されることもあれば、追い焚き単機能の給湯機も存在します。
追い焚きをすれば、お湯を温めなおして自分が入りたいときに入浴できます。必要な時だけ温められるため、長時間にわたって余計に保温のコストをかけてしまうことがない点もメリットといえるでしょう。
■風呂自動の仕組みと特徴
風呂自動は、あらかじめ設定しておいた温度・湯量で、自動的に湯張りから停止まで行う仕組みになっています。温度低下を自動検知し、保温することもできます。機種によっては「足し湯」や「配管洗浄」まで自動対応しているフルオート式のものもあります。
追い焚きと風呂自動の光熱費を比較
風呂自動で保温し続けることができるのは便利ではありますが、長時間保温をするのであればそれだけコストがかかります。ここでは、必要な時だけ追い焚きをする場合と風呂自動によって保温し続ける場合のどちらがお得になるのか検証していきます。なお、計算には以下の前提条件を用います。
▼計算に用いた前提条件
- ・追い焚き:200Lのお湯を35℃から40℃に温める際にかかる光熱費を試算
- ・保温(風呂自動):200Lのお湯を40℃に維持する際にかかる光熱費を試算
- ・1時間あたりに冷める温度:2.25℃と仮定
- ・ガス給湯器を利用
└参考商品:RUF-E240EAW
- ・ガス発熱量:10000kcal/1㎥
- ・熱効率:95%
- ・ガス・従量料金(1㎥あたり料金):129.65円
└関電ガスの下記ページをもとに計算
└関西電力の関電ガス「なっトクプラン」における20m³/月をこえ50m³/月までの料金単価をもとに計算
- ※2026年3月時点のガス・従量料金
- ※実際に請求させていただくガス料金には、従量料金に加え、基本料金と原料費調整額が含まれます
一般的に、水1mLの温度を1℃あげるためには必要な熱量は約4.2J(=1cal)とされています。そのため、200Lの水の温度を1℃あげる場合は200kcalが必要です。
また、お風呂の水を温める際にかかるガス代は以下のように計算できます。
必要熱量(kacl) ÷〔ガスの発熱量(kcal/m³) × 熱効率〕 × ガス単価(円)
上記の条件を踏まえると、200Lの水を1℃温める際にかかる金額は下記の通りです。
200kcal / (10000kcal/㎥ × 0.95) ×129.65円 ≒ 2.7円
- ※ガスの契約メニューによって原料費調整額の単価および上限の有無が異なります。
実際のコストはガスのご使用状況のほか、原料費調整額により変動いたします。
最終的に、追い焚きと保温にかかる金額はそれぞれ以下になります。
追い焚き:2.7円 × 5℃ = 13.5円
保温:2.7円 × 2.25℃ ≒ 6円(1時間あたり)
今回の試算では、200Lのお湯を35℃から40℃に追い焚きする場合と、200Lのお湯の温度を風呂自動で40℃に維持する場合を比較すると、1時間の保温であれば風呂自動の方が安くなるという結果になりました。ただし、保温時間が長くなる場合は、追い焚きにかかる光熱費の方が安くなることもあります。
ただし、この結果は上記の前提条件に基づく試算になります。実際には、追い焚きする場合のもともとの温度や追い焚きの回数、お湯が冷めるペース、利用する給湯機の性能などによってどちらがお得になるかは異なります。生活スタイルや環境に合った方法を選ぶとよいでしょう。
追い焚きと風呂自動の選び方
次に、追い焚きと風呂自動のどちらを選べばよいか、その選び方を、追い焚きが向いているケースと風呂自動が向いているケースの2つにわけて解説します。
追い焚きは、入浴する都度加熱する方式であるため、家族で入浴の間隔が大きく空くライフスタイルの方にはおすすめです。また、比較的安価でシンプルな給湯器で対応可能なため、なるべく初期費用を抑えたい方も検討しやすいでしょう。
風呂自動は、自動で湯はり・保温が行われます。そのため、家族が短時間で連続して入浴する際に快適温度を常にキープしたい方には向いています。
光熱費を節約するための工夫
ここでは、入浴にかかる光熱費を節約するための工夫を紹介します。それは、以下の2つの方法です。
- ・フタ、浴室ドアの活用による保温
- ・入浴時間や設定の最適化
それぞれの方法について、さらに詳しくみていきましょう。
■フタ・浴室ドアの活用による保温
お湯を張っていて入浴していない間は、浴槽のフタや浴室のドアを閉めることで、お湯の熱を逃がさないようにできます。この対策をすることで追い焚きや風呂自動の保温で余計なエネルギーを使わずに済み、光熱費の節約につながります。
■入浴時間や給湯設定の最適化
風呂自動での自動保温が長時間に及ぶ場合は、入浴タイミングに合わせて追い焚きをした方が、無駄な保温が必要なくなり、光熱費を下げられるケースがあります。
また、家族で入浴時間をまとめることで再加熱の頻度を減らしたり、設定温度や湯量を見直したりすることなどで、年間の光熱費の削減が期待できます。
追い焚きや風呂自動の利用時の注意点
次に、追い焚きや風呂自動を利用するときの注意点を紹介します。注意点は、下記の3点です。
- ・追い焚きの衛生面のリスク
- ・入浴剤の使用制限
- ・定期的なメンテナンス
それぞれの注意点について、さらに詳しく解説します。
■追い焚きの衛生面のリスク
追い焚きを利用している場合には、定期的に手入れをしていないと、配管内に雑菌が蓄積されてしまうことがあります。月に1回程度は市販の洗浄剤で、配管内を循環洗浄するとよいでしょう。ただし、給湯器の機種によって使用可能な洗剤が異なるため、事前に取扱説明書を確認するようにしましょう。
また、残り湯を一晩以上放置してしまうと、浴槽内の細菌が数千倍に増加するといわれており、追い焚きしたお湯は必ず当日中に使い切って、翌日は新しい湯に張り替えましょう。
■入浴剤の使用制限
入浴剤の中には、配管内に残留してしまい配管の劣化を引き起こしてしまうものもあります。そのため、「追い焚き対応」と明示されている製品や、給湯器メーカー推奨の入浴剤を使用するようにしましょう。
■定期的なメンテナンス
給湯器の利用が長期間にわたると、経年劣化は避けられません。そのため、定期的なメンテナンスをすることで、機器の故障といったトラブルの発生を抑止できます。なお、定期メンテナンスの頻度は、メーカー推奨の頻度に沿って行いましょう。定期点検はメーカー提携の専門業者に依頼すれば、機種の構造を熟知している可能性が高いため、より安心感を得やすいでしょう。
暮らしに合った給湯スタイルを選ぼう
本記事では、追い焚きと風呂自動の違いを解説するとともに、実際に時間をあけて入浴する場合に、追い焚きと風呂自動による保温を選ぶ際の参考となるような試算を行いました。
本記事の試算では、1時間の保温であれば追い焚きよりも安いという結果になりました。しかし、この結果は特定の前提条件のもとでの試算結果のため、実際には、入浴の間隔が短い場合や浴槽のふたをするなどの工夫をすれば、温度低下をより抑えられ、追い焚きでも今回の試算よりも低いコストで温め直せることがあります。
本記事で解説した内容を参考にしながら、各家庭のライフスタイルやその時の状況に応じて追い焚きか風呂自動を選びましょう。
- ※本記事の試算には、ガスにおける基本料金、原料費調整額を含みません。また、ガスの契約メニューによって原料費調整額の単価および上限の有無が異なります。実際に請求させていただく料金は、ガスのご使用状況のほか原料費調整額により変動します。ガス料金の計算方法や原料費調整額の最新単価や過去の推移は、こちらからご確認ください。