著者:三枝徹
家計にやさしい金融情報を解説するファイナンシャルプランナー
ガスファンヒーターは寒い季節に重宝する暖房器具です。ご使用されている方も多いのではないでしょうか。一方、「ガスファンヒーターはガス代が高いのでは?」と気にされている方も少なくないでしょう。
本記事では、ガスファンヒーターを使用したときのガス代の目安や節約法、関電ガスを使ったおトクな方法まで解説します。ガス代の目安が分かりますので、ガスファンヒーターを使うかどうかお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
ガスファンヒーターのガス代はいくら?
家庭用ガスには、「都市ガス」「プロパンガス」の2種類があります。都市ガスは地下にガス管を張り巡らせ、各家庭にガスを供給するシステムです。プロパンガスは各家庭にガスボンベを設置し、ガスを供給しています。
家庭用ガスの料金は、供給ガス会社ごとに異なります。プロパンガスの料金は、地域や販売店ごとにも異なります。ここでは、都市ガス用のガスファンヒーターを使用した場合のガス代の目安を紹介します。なお、試算の際は以下の前提条件に基づいています。
【前提条件】
- ・戸建の洋間8畳、設定温度22℃、外気温5℃の場合
- ・4.07kWタイプのファンヒーターを使用
└参考商品:RC-Y4002PE
(出典:リンナイ ガスファンヒーター Standard(スタンダード))
- ・都市ガス1時間あたりのガス使用量:0.126㎥
- ・従量料金(1㎥あたり料金):133.66円、基本料金:1,262.33円
└関電ガスの下記ページをもとに計算(ただし、電気セット割引は計算に入れない)
└関西電力の関電ガス「なっトクプラン」における20m³/月をこえ50m³/月までの料金単価をもとに計算
- ※2025年8月時点
- ※実際に請求させていただくガス料金には、基本料金と従量料金に加え、原料費調整額が含まれます
(出典:関電ガス ガス料金の計算方法)
- ※2025年12月1日以降は電気セット割引廃止のため適用されず、同時にガス料金自体を3%相当値下げいたします。詳しくはこちら。
上記の条件をもとにすると、1時間あたりのガス代は約16.8円になります。1日7時間使用した場合、1日あたりのガス代は約117.6円。1ヶ月(30日間)で基本料金も含めると約4,790.3円になります。
なお、算出した計算式は以下の通りです。
1時間あたり:0.126㎥ × 133.66円 ≒ 16.8円/時間
1日あたり:16.8円/時間 × 7時間 ≒ 117.6円
1ヶ月あたり:117.6円 × 30日間 + 1,262.33円 ≒ 4,790.3円
では、こうしたガス代を少しでも節約するにはどうすればよいのでしょうか。
ガスファンヒーターのガス代を抑える節約術
ここからは、ガス代を節約するための方法を紹介します。節約方法にはいくつかありますが、ここでは比較的すぐに対応でき、かつ節約効果が高い以下の5点を紹介しましょう。
- ・設定温度を控えめにする
- ・タイマー・エコモードの活用
- ・適切な広さの部屋で使用する
- ・部屋の断熱性能を見直す
- ・暖房器具を併用して効率化
それぞれの節約方法について、詳しくみていきましょう。
■設定温度を控えめにする
設定温度を下げることによって、ガス消費量を減らすことができます。冬の室温は一般的に、20〜22℃程度に設定すると快適に過ごせます。省エネを意識するのであれば、20℃まで設定温度を下げて利用するとよいでしょう。
20℃では寒いと感じる場合には、上着の着用や、ブランケットや使い捨てカイロなどの保温グッズを併用するなどの工夫が有効といえるでしょう。
■タイマー・エコモードの活用
ガスファンヒーターには、一般的にタイマー機能がついている機種が多いです。タイマー機能を上手に活用することで、使用時間を限定すれば無駄な稼働を防げます。
また、自動的に設定温度を抑えるエコモード機能がついている機種もありますので、エコモード機能を活用し、暖めすぎを防ぐことで節約効果が期待できるでしょう。
■適切な広さの部屋で使用する
ガスファンヒーターには、それぞれの機種ごとに対応畳数があります。対応畳数より広い部屋でヒーターを利用すると、設定温度に上げるためにフル稼働させることになるでしょう。
フル稼働をすることによって、ガス消費量が増えてしまう原因にもなります。そのため、各部屋の広さに適した機種のガスファンヒーターを利用するようにしましょう。
■部屋の断熱性能を見直す
カーテンや断熱フィルム・ドア下パッキンなどの断熱対策や隙間風防止策を施すことで、部屋の暖房効率を上げることができます。その他にも、窓を二重窓にするといった対策もありますが、費用がかさむという点がデメリットです。
暖房効率が上がることでガスファンヒーターの稼働時間が減らせることから、ガス代を節約できることで長期的には安くなる可能性があります。
■暖房器具を併用して効率化
エアコンや電気毛布といった他の暖房器具を併用することで、部屋の温度ムラが減少しファンヒーターの稼働時間を抑えることが可能でしょう。
他の暖房器具と併用することで、ガスファンヒーターの稼働時間が抑えられ、ガス代を節約できます。しかし、新たに暖房器具の購入が必要となる場合は、トータルコストが低く抑えられるかを忘れずに確認しましょう。
ガスファンヒーターのメリット
部屋を温めるには様々な方法がありますが、その中でもガスファンヒーターを使用するメリットとしては、以下の4点があります。
- ・立ち上がりが早い
- ・空気が乾燥しにくい
- ・燃料補給が不要
- ・においや煙が出にくい
それぞれのメリットについて、詳しく解説しましょう。
■立ち上がりが早い
ガスファンヒーターは、スイッチを入れると約5秒で温風が出る速暖性があげられます。この点は、他の暖房器具より勝っているといえるでしょう。
特に、真冬の寒い朝はすぐに部屋を暖めたいものです。そのため、すぐに暖めたい場合には、ガスファンヒーターはまさにうってつけの暖房器具といっても過言ではありません。
■空気が乾燥しにくい
ガスファンヒーターは、燃焼時に水蒸気も発生します。そのため、発生した水蒸気が部屋の中に拡散されることで、エアコンよりも空気が乾燥しにくいという特長があります。
エアコン使用時には、空気の乾燥を防ぐため加湿器との併用が必要となることもありますが、ガスファンヒーターの場合は加湿器の併用を抑えられる点がメリットです。
■燃料補給が不要
ガスファンヒーターは、燃料であるガスをガス栓から直結しており、自動で補給しています。そのため、石油ファンヒーターの灯油とは違い、人手による燃料の補給が必要ありません。
冬場の寒いときに、人手による燃料補給の手間がいらないため、燃料の補給時間・補給の労力・精神的な面で楽という点もメリットといえるでしょう。
■においや煙が出にくい
ガスファンヒーターは、燃焼したガスを熱交換して外に排出するため、部屋の中に煙やにおいがこもりくいというメリットもあります。そのため、部屋の中の空気が汚れることもありません。
石油ファンヒーターの場合は、燃料となる灯油のにおいが部屋に残ってしまうため、ガスファンヒーターは、においが苦手な人でも使いやすいでしょう。
他の暖房器具とのランニングコスト比較
ガスファンヒーター以外の暖房器具の例として、エアコンやセラミックファンヒーターなどが挙げられます。最後にこれらの暖房器具について、料金の観点でも比較してみましょう。
なお、今回は下記の条件のもとで試算をしていきます。
【前提条件】
- ・電力量料金:25.61円/kwh
- ※関西電力の「従量電灯A」における第2段階(120kWhをこえ300kWhまで)の電力量料金の料金単価を使用。
- ※実際に請求させていただく従量電灯Aの電気料金には、電力量料金の他に、最低料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金が含まれます。
- ・戸建の洋間8畳、設定温度22℃、外気温5℃の場合
- ・参考商品
└ガスファンヒーター:リンナイRC-Y4002PE
(出典:リンナイ ガスファンヒーター Standard(スタンダード))
└エアコン:ダイキン2024年モデルうるさらX
(出典:ダイキン ルームエアコン 仕様(スペック)(8~10畳))
└セラミックファンヒーター:パナソニック加湿機能付きセラミックファンヒーター
(出典:Panasonic 加湿機能付きセラミックファンヒーター)
- ・消費電力
└ガスファンヒーター:18W
- ※プラズマクラスター未使用の場合
└エアコン:660W
└セラミックファンヒーター(強):1220W(60Hz)
└セラミックファンヒーター(弱):640W(60Hz)
- ・ガスファンヒーターのランニングコストのうち、ガスにかかる1時間当たりのコスト:16.8円
上記の条件のもとで計算すると、ガスファンヒーター・エアコン・セラミックファンヒーターの1時間あたりのランニングコストは、下表のとおりです。
種類 |
ランニングコスト |
ガスファンヒーター |
17.3円 |
エアコン |
16.9円 |
セラミックファンヒーター(強) |
31.2円 |
セラミックファンヒーター(弱) |
16.4円 |
また、それぞれの計算式は以下の通りです。
ガスファンヒーター:25.61円/kwh × 0.018kwh + 16.8円 ≒ 17.26円
エアコン:25.61円/kwh × 0.66kwh ≒ 16.9円
セラミックファンヒーター(強):25.61円/kwh × 1.22kwh ≒ 31.24円
セラミックファンヒーター(弱):25.61円/kwh × 0.64kwh ≒ 16.39円
このように、1時間あたりのランニングコストはセラミックファンヒーター(弱)、エアコン、ガスファンヒーター、セラミックファンヒーター(強)の順に安いことが分かりました。
- ※燃料費調整額(電気)・原料費調整額(ガス) によって順位が変動する可能性があります。
ただし、「強」運転のセラミックファンヒーターはランニングコストが高いものの、速暖性に優れているというメリットもあります。1時間あたりの暖房能力は種類ごとに異なるため、単純にコストの低いものがおすすめというわけではありませんので注意が必要です。
ガスファンヒーターの特徴と注意点を押さえて冬を快適に過ごそう
ガスファンヒーターは、速暖性・空気の乾燥のしにくさといった点で、他の暖房器具よりも優れています。節約方法や選び方次第で、燃料となるガス消費量を減らすことができるため、ガス代をしっかりと抑えることも可能です。
また、ガス代が高いと感じる方には、ガス会社を見直すといった方法もあります。関電ガスの「なっトクプラン」であれば、切り替えのための工事が不要でカンタンに切り替えができます。
詳しくはこちらを参照ください→https://kepco.jp/gas/